ベジタブル
彼等の食べ方は、早食い大会を見ているかのようだった。一瞬にして消えていく料理の数々に見兼ねたジークは奥の部屋へ向かうと、巨大な寸胴を持って来る。その中には、ジャガイモのスープが入っていた。
どうせ、途中で満腹になってしまう。そう高を括っていたジークであったが、彼等の食欲の高さに圧倒される。ジークは残っていたスープを皿に注いでいくが、注いでいった側からスープが消えていく。
「……御前等」
このまま寸胴を手渡したら、一気飲みをしそうな勢いが感じられた。その証拠に、料理の八割が無くなっている。これだけの料理を作るのに、相当の時間が掛かった。だというのに僅か十分足らずで間食寸前とは、ジークは改めて生き物の「食」に対しての貪欲さを知った。
そして――
『ご馳走様でした』
見事に、全ての料理が完食された。
三人とも、夢見心地の表情を浮かべている。それだけクリストファーを使ったジークの料理が、美味かったのだ。確かに、食べ方に関しては上品を通り越して下品の領域に達していた。
しかし、本当に美味い物を食べると我を忘れるという。それを知っているのでジークは、敢えて何も言わない。それに、全てを綺麗に平らげてくれた。何と、ソースまで綺麗に舐めているのだ。
「で、感想」
「美味しいです」
「最高です」
「もっと食いたい」
そう言葉を発した瞬間、ルイスは不機嫌な表情へと変化していく。何でも食事の最中、レイとディランに自分の料理を勝手に奪われてしまったので、二人より胃袋に入っている料理が少ないという。そのことに腹を立てているルイスは、ジークに再度もっと食べたいと頼む。
「それは、無理だ」
「な、何でだ」
「食材がない」
「……そうか」
そう呟くと同時にレイとディランに視線を向けると、瞬時に二人は視線を逸らしてしまう。彼等も勝手に食べてしまったことを悪く思っているのだろう、だが食の本能に勝つことはできなかった。どの種族であったとしても「食べ物の恨みは怖い」という言葉が当て嵌まる。