彼の手
「俺の人生お前にあげる。一生かけてお前の傷を癒してみせるから」
そして再び優しくあたしを引き寄せて、ゆっくりと頭を撫で始める。
頭が真っ白で、何から考えて何から答えていいのかさえ分からない。
だけど、あたしを撫でるその手がここにあるだけでいいかって気にもなる。
コトンと頭を彼の胸に預けてみる。
頭よりも体が先に答えを出している。
──この手が欲しい。
「お前の答えは聞かないよ。俺が俺のためにお前が必要だから。
だけど、俺がいつでもお前のそばにいるから、お前は呑気にこの先の人生を送ればいい」
もうこれ以上ないくらい甘い言葉と、撫で続けられる手からもらった安堵感に加えて酔いと疲労感のせいで、急に眠気が襲ってくる。
「………眠たくなってきた……」
言葉にならないくらいの呟きをすると、クスリと笑う彼の声が降ってくる
「いいよ。ちゃんと『ウチ』に届けてやるよ 」
意識の端でその声を聞いたのを最後に、まるで魔法にかけられたようにあたしは眠りについた。
体がフワリと浮かんで、彼の 声がする
「そうやって、俺の前で無防備でいればいいんだよ。愛してる 」
遠くに聞こえるその声に、すっかり眠りりについた あたしはニッと笑って答えることしかできなかった。
(完)
そして再び優しくあたしを引き寄せて、ゆっくりと頭を撫で始める。
頭が真っ白で、何から考えて何から答えていいのかさえ分からない。
だけど、あたしを撫でるその手がここにあるだけでいいかって気にもなる。
コトンと頭を彼の胸に預けてみる。
頭よりも体が先に答えを出している。
──この手が欲しい。
「お前の答えは聞かないよ。俺が俺のためにお前が必要だから。
だけど、俺がいつでもお前のそばにいるから、お前は呑気にこの先の人生を送ればいい」
もうこれ以上ないくらい甘い言葉と、撫で続けられる手からもらった安堵感に加えて酔いと疲労感のせいで、急に眠気が襲ってくる。
「………眠たくなってきた……」
言葉にならないくらいの呟きをすると、クスリと笑う彼の声が降ってくる
「いいよ。ちゃんと『ウチ』に届けてやるよ 」
意識の端でその声を聞いたのを最後に、まるで魔法にかけられたようにあたしは眠りについた。
体がフワリと浮かんで、彼の 声がする
「そうやって、俺の前で無防備でいればいいんだよ。愛してる 」
遠くに聞こえるその声に、すっかり眠りりについた あたしはニッと笑って答えることしかできなかった。
(完)
