クローバーの起こしたキセキ





言葉ではこんなことを言ったけど、何故か心にはもやもやしたものが出て来たのがわかった。
・・・・・いったい何だ、この気持ちは。
それから童は麻美のいい所をずっと言っていたけど相槌だけうち何も耳には入ってこなかった。




「麻美〜、もういいよ。
ごめんね、待たせて」




童がドアを開けて呼ぶと麻美が入ってきた。
不安そうに俺と童をかわるがわる見て、表情が明るくなる。
・・・・・たしかに可愛いな、表情がコロコロ変わる。




「ばいばい辰也ー、麻美帰ろっ」




そんな声をかけて一緒に帰ろうとする童。
麻美は普段なら帰ってる時間になっている。
一緒に帰るんだろう、と思うと童に対する黒い気持ちが広がる。
・・・・・?なぜ?




「童君、ごめん先に帰ってて。
私、海原君に言いたいことがあるんだ。
本当にごめんね」




「それなら仕方ないね、じゃあまたね」




そういいながら帰っていく童は気のせいか少しさみしそうな表情をしていた。
当たり前か、好きな人を誘ったのに断られたんだから。
普通なら俺も悲しがらないとダメなはずだよな、俺は喜んでる。
最低だな、それにしてもなんで麻美は残ったんだ・・・・・?




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