クローバーの起こしたキセキ
〜桜井 麻美said〜
「麻美〜、もういいよ。
ごめんね、待たせて」
童君が私を呼ぶ。
最初はものすごい叫び声が少し漏れてたからケンカになって殴り合いとかしてないかなと心配していたけど、二人の顔には傷一つない。
そればかりか海原君の目つきが柔らかい。
「ばいばい辰也ー、麻美帰ろっ」
童君に一緒に帰ろうと誘われる。
時間は遅いけどどうせ家には怒る人もいないもん。
「童君、ごめん先に帰ってて。
私、海原君に言いたいことがあるんだ。
本当にごめんね」
「それなら仕方ないね、じゃあまたね」
そう言って帰っていく童君。
申し訳ない気持ちが溢れる。
さてと。
童君の姿が完璧に見えなくなってからドアを閉めて海原君と向き合う。
「その・・・・・言いにくいかもしれないんだけど、童君とえっと・・・・・」
「どんな話をしたか、か。
悪いけど言えない。
童がいいって言ったらいいんだけどな」
考え読まれた・・・・・。
まぁしょうがないか、男同士の話ってことだよね。
マンガじゃよくあるしね。
「・・・・・それよりお前、童のこと“童君”って言うんだ?俺の方がお前と会ったのは先だったのに」
・・・・・海原君、どうしました急に。
今までそんなこと一言も言わなかったのに。
「ただ童君と会ったのは学校に行く途中だったんだけど、童って呼ばないと学校に行かせないって。
だからだよ」