クローバーの起こしたキセキ
私の思考を停止させたのは話しかけてきた人物、童君。
一旦中断して挨拶を返す。
「おはよ童君、いつもこれくらいだよ?」
へーっ、そうなんだと無邪気に笑う童君を見ていると悩みなんて吹っ飛んで行った。
「ところで俺が昨日送ったメール見た?返信くれなかったけど」
「メール?そんなのきたっけ、今確認するね」
私は急いで確認するけど、朝と同じで、お母さんのメールが一件あっただけで何もなかった。
無いと伝えると、童君は自分の携帯を開いて送信履歴を見せた。
「ほら、ちゃんと『明日暇なら一緒に水族館行かない?』って送ったよ。
五時十三分に送ったって履歴には書いてあるんだけど・・・・・」
階段を登りながら言う。
「あ、その時海原君とメアド交換してた。
たしかメールきたけどただの迷惑メールって消してたよ?多分違うと思うなぁ」
そういえば、と思い出し童君にそのことを伝えると表情が一瞬険しくなった。
しかし次の瞬間にはいつも通りの無邪気な顔があるだけで、気のせいとしか思えなかった。
「麻美おっはー」
碧海が階段を登っている最中に後ろから抱きついてきて落ちそうになった。
体制を立て直してもう、と怒る私に碧海はあははと大きく笑う。
・・・・・可愛すぎ。