クローバーの起こしたキセキ
「麻美ちゃん!?来てくれたのね・・・・・」
病院の入り口にいたのは間違えることなく海原君のお母さんだ。
目が少し赤く腫れている。
私はこの不安が杞憂であることを願いながらも、海原君に何かあったというのは間違いないと確信していた。
そしてその予感は当たった。
「辰也が事故に遭ったの・・・・・、トラックに跳ねられたんですって・・・・・。
私も病院から電話を受けて急いで駆けつけたんだけど・・・・・。
今は集中治療室に居るわ・・・・・」
ジコ。
シュウチュウチリョウシツ。
そのたった二単語で私の頭は真っ白になって行く。
だけど全てが消えて行く前に一つの疑問が浮かび上がる。
どうして海原君は事故にあったのか、ということ。
「あ、あのお母さん・・・・・。
海原君は外に出ていたということですか・・・・・?トラックに跳ねられたってことは、そういうことですよね・・・・・」
私のこの疑問にお母さんはただ一言、辰也が手術に成功して目覚めたら聞いてみて、と応えた。
そしてお母さんはイスに座り込んで祈るように手を組んで目を瞑った。
私も同じ格好をして祈る。
だけど思考は他のことでいっぱいだった。