クローバーの起こしたキセキ







「先生!お母さんは大丈夫なんですか!?」





「はい。
目立った外傷は見当たらないので、あとで質疑応答をしてみないと詳しくは判りませんが、恐らく衰弱でしょう。
お母さんは此処のところ少し無理をなさっていたのでは?一ヶ月は安静にしていてください」





私は、お母さんが倒れてからすぐに来た救急車に乗せられそこからは記憶が全く無い。
しかし、この伊藤という先生によると、お母さんは手術をしなければならない、ということにはならなさそうだ。





「よかった・・・。
お母さんまで逝っちゃうかと思った・・・」




うちは、私が三歳の頃お父さんが事故で他界した。
お父さんの事はあまり覚えていないけど、胸が張り裂けるような痛みは覚えている。




そのせいか、私は軽々しく友達をつくらないようになってしまった。
もし離れることになったら、気が狂ってしまうだろうから。





私の“よかった”をどのように解釈したのか、先生は微笑みながら言った。





「お母さんの病室に行って来てあげてください。
きっと明日には目を醒ますでしょう」




私はお母さんの病室に立ち、一応コンコンとノックをした。
病室に入る。









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