クローバーの起こしたキセキ
「お母さん、こんなになるまで無理してたの?もし過労死したらどうするつもりだったの?ねぇ、お母さん。
・・・どうして、言ってくれなかったの・・・?」
そこまで言って気付いた。
“私のせいだ”ということに。
「私がっ・・・・・。
私が一緒にどっか行きたいって言ったからだ・・・!!私のせいだ・・・、お母さんごめんね・・・」
私は、どれだけ人を傷つければ気が済むのだろう。
碧海、海原君のお母さん、それにお母さんまで・・・。
こんなんじゃ、ただのエゴイストだ。
お母さんが眠っているベッドに突っ伏して思いっきり声を出して泣きじゃくった。
「また明日来るね・・・」
自分に幻滅しながら、エレベーターに向かう。
すると、そこには最近見たばかりの顔があった。
「海原君の、お母さん・・・?」
知り合いでもいるのかと思ってつい話掛けてしまうところだったが、寸前で収めた。
いや、収められたと言うべきか。
理由は二つ。
自分がきっとひどい顔をしているから。
そして、海原君のお母さんが入って行った病室が個室で、ちらっと見えた隙間から・・・・・
海原君が、見えたから。
あのすっと通った鼻筋に、綺麗な唇。
そしてあの、冷たい氷のような瞳。
見間違えるはずがない。