クローバーの起こしたキセキ





昨日は結局パニックになってしまって、何が何だかわからないまま家に帰った。
そして今日また、昨日の市民病院に着いた。




重い足取りで病院に入っていく。
受付にいる看護師さんに病室を言い、一ヶ月間だけ出入り自由の許可証を貰う。





お母さんの病室には、昨日の伊藤先生がおり、何か話しているようだ。
近くに看護師さんがいるようには見えない。




ということは、お母さんが起きたとしか考えられない。





ドアをノックすることも忘れ、私は病室に駆け込んだ。
ベッドの背もたれに体重をかけ、真っ白い病服を着、少しやつれたように弱々しいお母さんは、まるで、冬に降る粉雪のようだ。
うっかり触ってしまったら儚く溶けていなくなってしまいそう。





そんなお母さんに駆け寄り、私は何を喋るべきか考えた。
そして、頭に浮かんで来たのは




「ごめんなさいっ・・・」




と言う六文字の謝罪だった。
いきなり謝った私に、お母さんがとった行動は





「どうしたのよ、急に謝ったりして。
あなたのそういう突拍子ない事をいきなり切り出す癖、治ってないのね」




という言葉と苦笑だった。




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