クローバーの起こしたキセキ
「・・・・・バカやろ・・・。
そんなこと言われたら、信じちまうだろうが・・・。
でも、やっぱ無理だ。
俺は昔、ある奴を傷つけてるんだ。
そんな俺が、友達を作る資格なんてないだろ・・・・・?」
そんなに悲しい微笑・・・、初めて見た微笑みがそんなだなんて、悲しすぎるよ・・・・・。
眼も真っ暗な絶望しか映してない。
「そんなことない、あなたはいい人だよ。
知ってるよ?本当はお母さんを思いやってることも、こっそり捨て犬にミルクあげてたところも見たもん。
そのことだって、その子が傷つかないように自分から離れたんでしょ?」
ここまで言ってから身を乗り出して、海原君に近づく。
「ねぇ、大丈夫。
だから、もう一回だけ、人を信じて見てよ・・・・・。
助け合って、支え合うのが、人間の本質だよ・・・・・?」
反応を待つ。
もし嫌と言ったら、私は諦める。
でも、うつむいた表情からは何も読み取れない。
勝手なことを言った私に呆れているのか、怒っているのか、それとも・・・・・。
「・・・・・あぁ。
お前は、昔からなんにも変わっちゃいねぇな・・・・・。
変わったのは俺の方だ・・・・・・。
俺と・・・・・、友達になってください」
ばっとあげた顔には、涙が浮かんでいた。
それに昔から、というのは・・・・・?
でも、そんな事より海原君が友達になってくれたことの方が重要だ。
「これから、よろしくね!それと、友達になったからには、毎日会おうね。
学校に来れない日は私が病院に行くし、家にも行くから!」
こう言うと、私は倒れた。
張り詰めていた気が緩まったからだろうなぁ・・・・・。
まぁ、嬉しいからいいや!
「ありがとな・・・・・、麻美」
倒れる寸前にこんなことが、聞こえた気がするが、きっと私の幻聴だろう。