クローバーの起こしたキセキ





「・・・・・何してるんだ」





私が持っているカミソリの刃をみていつもより低い声を出してもう一度聞いてきた。
普段の私なら怯んでいたかもしれない。
でも、今は死にたいという思いに思考を占領されていて、怖さなんてなかった。





「え?何って死のうとしてるんだよ。
カミソリの刃見てたからもう分かってるかと思ったんだけどなぁ・・・・・」




こういうと、形のいい眉を潜めて悲しみをこらえるような眼になりながら言った。
どうして、そんな瞳をするの・・・・・?





ねぇ、どうして・・・・・?





「お前・・・・・。
昨日約束したばかりなのに、もう約束破るのか?」





「約束・・・・・?」




約束なんかしたっけ・・・・・?




「まぁ、もう私死ぬから、どんなだったかなんていいよね。
でも一応聞いてあげる。
なんだったっけ?」




こんなことを聞く私の眼、心はきっと濁りきっている。
悪魔の甘い誘いにつられた愚かな瞳だ。





「『大丈夫、私は離れないよ。
一生ね!』
・・・・・お前が自分で言った言葉だ。
約束、破るのか?」





あ・・・・・、そうだった。
私、一生離れないって自分で約束したんだ。






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