クローバーの起こしたキセキ





「碧海っ!」




教室のドアを壊れんばかりの勢いでガラッと開ける。
海原君と話していたから気づかなかったけど、もう休憩は終わっていたらしく、国語の担当である女の先生とみんながギョッとした顔でこっちを見た。





「ちょっと桜井さん?遅れたことに対してなんにもないのかしら?あなたのせいで授業の時間がどんどん潰れていっているのよ」




ほっとけば永遠に愚痴っていそうなのでとりあえず謝る。
すると呆れながらもなんと許してくれたので、もう少しだけ問題児になろう。




「碧海、抜け出そ!!先生、ほんっとうにすいません。
でも本当に大事なことなんです。
ちゃんと戻ってきたら反省文でも説教でも停学処分でもなんでも受けますから!あとクラスのみんな、貴重な時間、潰してごめんね!」





碧海の席まで走り、手をつないで誰も使っていないはずの空き教室に駆け込んだ。
いきなり引っ張られたせいか、碧海は深呼吸をしている。
常人なら息が乱れるはずなところだけど、さすがの運動神経のおかげか、三十秒程の短時間で呼吸を整えていた。





最後に深く息を吸ってから吐く。
そんな姿まで絵になるほど可愛い碧海。
あんなこと言ったくせに心友に戻っては無理かもしれないけど、言うべきことはきちんと言おう。
海原君に教えてもらったから。







< 69 / 199 >

この作品をシェア

pagetop