ぎゅってね?
走って、

走って、

走り切って、

ようやく足が止まったところで私は空を仰いだ。

ぽたりとしずくが落ちてきたから、空から雨が降ってきたんだとそう思ったから。

でも見上げた空は文句をつけられないくらいきれいに青く広がっていて、

初めて泣いていたんだと気が付いた。

壊れてしまった。

終わってしまった。

そんな気持ちに打ちひしがれて座り込む。

玲人は私を軽蔑しただろうか?
私は、その辺にいる女の子たちと何も変わらない。
特別なんかじゃない。
嘘を吐き通すこともできなかった。

手をつながなくても“好き”だって気持ちがあふれてしまうんだったら、っと。

空に向かって伸ばした手を見つめて思う。

叶うなら、もう一度だけ彼と手をつなぎたかった。

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