風花


「……マジか?」
「残念ながら」


信じられなかった。信じたくなかった。
電車やバス等の公共機関は、待たせても5分、そういう認識が俺にはあった。現に、今日までの十七年の人生で、それらを5分以上待ったことはなかった。
だから信じられなかった。そんな非常識な常識を。


「タイミングが合えばいいけど、乗り過ごすとかなり待つことになるよ?それにしょっちゅう遅れるし。おまけに電車賃めちゃめちゃ高いし!ぼったくりだよ絶対!」
「………」


電車賃を聞く気にはなれなかった。
カルチャーショックをこれ以上受けたくなかったから。


「だから、この辺のたいていの人達は、車で行くんだよ」
「車…」


確かにうちにも車はある。けど、それは親父の通勤用で。頼めば出してくれるのだろうが、仕事の都合上、いつになるか全く検討がつかない。
かと言って、舞歌いわく、ぼったくり電車には、正直乗りたくない。

……つまり、残された手段は一つしかなかった。
俺の気持ちの良し悪しは別にして。
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