私は男を見る目がないらしい。
そう自分に強く言い聞かせて理子さんに笑顔を向けると、「ならいいけど」と理子さんはさらにビールを流し込んだ。
「今回は美桜の様子が明らかに違ったから、正直驚いたわ」
「え?」
「その前の彼氏の時は、そんなに落ち込んでなかったでしょ?」
前の彼氏のことを思い出すけど……、別れた日から半年くらいしか経っていないのにあまり記憶にはなかった。
でも、3年も付き合ってたしそれなりに落ち込んだと思うんだけど……たぶん。
「……同じ、だと思いますけど」
「ううん。全然違うわ」
「そう、ですかね……」
理子さんの言葉に、私は首を捻る。
まぁでも、前の彼氏の時は状況が状況だったし、自分から愛想を尽かして別れを切り出したのもあって、それなりに立ち直りは早かったかもしれない。
とは言っても、やっぱり同じように落ち込んでいたはずなんだけど……違ったっけ?
全然違うって言われるくらいだし、違ったのかもしれない。