私は男を見る目がないらしい。
 

「だから心配だったのよ。いつも強気な美桜があんなに泣くなんて前代未聞だし」

「……」

「でも大丈夫になったなら良かった。次にいけるわね」

「……いえ……しばらくはもう、恋愛はいらないです。そんな気分にもなれないし」

「自然に好きになれる人がそのうち現れるわよ。ちゃーんと美桜を幸せにしてくれる男が」

「……だといいですけど。でも私に見合ういい男なんて、そんなに簡単に見つかるかなぁ~ふふっ」


いつもの調子を少しだけ取り戻した私は、けらけらと笑いながらそんなことを言った。

朔太郎以上に好きになれる人が現れるんだろうか?という疑問はどうしても浮かんでしまうけど、それはきっと時間が解決してくれる……よね?


「大丈夫よ。美桜なら大丈夫」

「……はい」


私は理子さんの優しさを感じながら、くいっとビールを飲んだ。

炭酸が喉を刺激しながら流れ込んでいくことに、少しだけ苦しさを感じながら。

 
< 113 / 278 >

この作品をシェア

pagetop