私は男を見る目がないらしい。
 

「……俺が消えて、寂しかった?」

「っ!!」

「なぁ、どうなんだよ」

「~~っ、そんなわけないでしょ!?」

「……んだよ、寂しかったんじゃん。ほんと美桜ってかわいいよなぁ」

「っ!!」


バカにしたような言葉を発して、くくっと愉しげに笑った朔太郎に対して、一気に頭に血が上った。

……気付いたら。

パンッ!


「って!!」


手が勝手に動いていて、朔太郎の頬を思いっきり殴っていた。

涙で歪んでしまった視界に見える朔太郎は、見たことがないくらい冷たい目をしていた。


「~~バカッ!大っ嫌い!!」


朔太郎の頬を殴った手がじんじんするのを感じながら、私はその部屋を飛び出した。

 
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