私は男を見る目がないらしい。
「それにしても、彼、うちの営業にいたんだね。社内恋愛かぁ。営業の人間は結構知ってるつもりだったけど、彼のことは知らなかったなぁ」
「……あ、今年からで……、中途入社なので……」
「え?そうなんだ?そっか。じゃあ、普通の恋人だったのに、社内恋愛になっちゃったー、ってパターン?彼もなかなかやるね。同じ会社に入社するほど相原さんのことが好きなんだね」
「……っ」
三浦さんには全く悪気はないとわかっているし、そう言わせているのは私だけど、三浦さんの言葉がグサッと心臓に刺さった。
朔太郎は私のことなんて好きでもなんでもないし、むしろ同じ会社に私がいることを知って困ってる。
今となっては朔太郎にとっては、私の存在は面倒なものなんだ。
そのことは十分承知の上なのに、朔太郎のことを考えると何故か胸がズキズキ痛い……。
何で?
別に朔太郎が私を好きじゃなくたって、今の私には何も関係ないのに。
もう私は朔太郎のことは忘れるんだから……。
「?相原さん?」
「っ!……と、とにかく、他言無用でお願いしますっ!あと、あの人とのことはいじらないでくださいっ!」
「え~……」
「え~、じゃありません!約束してくれなかったら理子さんに言いつけますからねっ」
「……りょ、了解」
「じゃ、戻りますっ」
理子さんの名前を出した途端、三浦さんはピシッと直立した。
そんな三浦さんから、私は今がチャンスとばかりに逃げるようにして踵を返しドアに向かう。
でも、すぐにはドアを開け放つことはできなかった。