私は男を見る目がないらしい。
 

「……酷いです」

「え?」

「あ。」

「それ、結局私じゃないですかぁ!?そんなの、何も変わらないから却下です!」


部署内には後輩はたくさん入ってきているけど、この部屋にいる人たちの中で一番の下っ端は入社5年目の私だ。

この部署はあまり退職する人もいないから、スペースの問題でこの部屋にはしばらくは新しい人は入ってこないはずだ。


「……じゃあ、やっぱり、自由にってことで!営業の人間に任せよう!ほら、他の案件のこと聞かれるのは相原さんにとっても役立ってるだろうから!じゃ、そういうことで俺は帰りますっ!お疲れさまでしたっ!」

「あっ、三浦さん!?せめて、ローテーションで……っ」


ささっとコートを羽織ってカバンを掴んで三浦さんが逃げるように部屋を出て行く。

私はあっと手を伸ばすけど、届くはずもなく空を虚しく舞うだけだ。


「俺も帰ろ~」

「えっ!田仲さんまでっ!」

「お疲れ~」


ひらひらと手を振りながら満面の笑みでさらりと田仲さんまでもが部屋を出て行く。

そして、部屋に取り残されたのは私一人。


「!!……酷い、みんな他人事だと思って!」


私は誰もいなくなった部屋で、がくりと肩を落とした。

朔太郎のせいでパソコンの打ち込みと考察がまだ残っているという現実も併せて、肩がさらに重くなった気がした。

この2週間耐えてきたけど、こんな日々がこれからもずっと続くの?

そんなの耐えられるはずない……!

こんなに毎日顔を合わせていたら、忘れられるものも忘れられないし!

それが公私混同だと言われても避けられるものなら避けたい!

……こんなにイライラするのは全部、朔太郎のせいだ!

 
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