私は男を見る目がないらしい。
ぐるぐると考えるけど、答えは出るはずはない。
長谷部さんがくすりと笑って、私に向かっていつもの笑顔を向けてくる。
「“彼女がいない”のは本当だよ?確かに結婚はしてるし“奥さんはいる”けど、嘘はついてない。でもさ、そんなの俺たちが付き合うことには何の関係もないよね?奥さんがいようと、好きになっちゃったものは仕方ないんだし」
「……っ!」
「俺は相原さんのことちゃんと好きだし、相原さんも俺の気持ちを受け入れてくれた。俺が結婚してようとしてまいと、お互いを想う気持ちとかやることとかは同じだろ?確かに俺の帰るべきところは相原さんのところではないけど……一緒に過ごす時間が楽しければ何の問題もないと思うんだ」
……何言ってるの、この人。
歪んでいく私の表情とは逆に、長谷部さんの表情は何も変わらず、穏やかな笑顔を浮かべたままだ。
「あ、もしかして不倫で訴えられたらどうしよう、とか心配してる?それなら心配しなくても全然大丈夫だよ?もしバレたとしても、俺のパートナーは俺を愛してくれてるし、全て許してくれるから」
「!」
「お前、ふざけ」
「っ、ふざけないでよ!最っ低っ!」
パンっという乾いた音が公園内に響く。
冷え切ってしまった手がジンジンと痛いけど、それ以上に怒りで頭に血が上っていてあまり気にならない。
長谷部さんは一瞬その衝撃に顔を歪めたけど、全く悪びれた様子もなく、さらに言葉を続ける。