私は男を見る目がないらしい。
 

「あっ、でももう大丈夫ですから!長谷部さんとのことをきっかけに、朔太郎のことも全部忘れようと決心したんです。って、捨てられた時にばっさりと忘れるべきだったなのに、何ヶ月も引きずっちゃってバカみたいですよね」

「いいの?それで。その元カレ、戻ってきた上に美桜に気持ちを伝えてきたってことなのよね?」

「……はい。お金もお守り代わりだったなんて言って返してくれました。でも……、それはまた私を騙すための罠なんだと思うし」

「でも、お金を返してくれて、戻ってきてくれて、気持ちを伝えてくれたって……それ、本当に美桜の元に戻ってきたってことじゃないの?話を聞く限り、信じてもいいと思えるんだけど。美桜のこと、ちゃんと想ってくれてるじゃない」

「……やっぱり理子さんって伊達にいろんな経験してないですよね。ふふっ」

「!美桜、あたしは真面目に言ってるのよ!?」


へらっと笑ってしまった私に、理子さんは少し語調を強め、怒るような表情を見せた。

落ち込んでいた私を知っているからからこそ、どうにかうまくいかないかって考えてくれているんだろう。

 
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