私は男を見る目がないらしい。
 

「!え、何で」

「ねぇねぇ、美桜~!これっ、小西ってゆーの!中途で入ってきた、期待の新人っ!カッコいいでしょーっ!?」

「わぁっ!?」

「っ!!」


急に理子さんが朔太郎の首に腕を伸ばし、ぎゅうっと抱きついた。

そんな理子さんの身体を朔太郎の腕が支える。

理子さんは嬉しそうな表情をしている一方、朔太郎は戸惑った表情をしているけど、抱き合っている二人の姿はお似合いすぎて、胸がきゅうっと締め付けられる感じがした。

や、何か、嫌だ……!

見たくない……っ!

そう思った時、冷静な低い朔太郎の声が耳に入ってきた。


「……ほら。理子先輩、離してください」

「嫌っ。ねぇ、小西、あたしと付き合わない?あんた、好きな人に拒否られて辛いって言ってたでしょ?」

「はい?」

「!?」

「あたしもフラれたばっかで寂しいの。だから、ね。付き合お?」


にっこりと笑った理子さんは朔太郎の首に掴まるようにして、首を斜めにして朔太郎の顔に近付いていく。

その表情と仕草は女の私から見てもすごくセクシーで、落ちない男がいたらその顔を見てみたいと思ってしまうくらいだ。

 
< 233 / 278 >

この作品をシェア

pagetop