私は男を見る目がないらしい。
 

「……へぇ。だってさ。美桜。ちゃんと聞いてた?」

「っ!?」


突然話の矛先が自分に向けられて、私は声も出ないくらいに驚いてしまう。

それは朔太郎も同じだったようで、理子さんのことを目を丸くして見下ろしている。

そんな中、理子さんだけはつい今までとは打って変わって、冷静な表情を浮かべていた。


「もういいわ。小西、離して」

「え、はい。……もしかして、これ、ドッキリですか?」

「まぁそんなものね。女優演じてたの。なかなかでしょう?」

「はぁ……まぁ。」

「それよりも美桜よ」

「!」


理子さんの視線が突き刺さる。


「ねぇ、いいの?美桜。小西が他の女と付き合うってことは、こういう場面を見ても平気にならないといけないってことなのよ?わかってる?」

「!!」

「ほらまた、そんな顔して。ほんっと美桜ってバカよね。素直になれば簡単な話よ?天邪鬼になればなるほど、自分を追い詰めるんだから」

「……」


もっともすぎる言葉に、理子さんが酔っていなかったことに、ようやく気付いた。

 
< 235 / 278 >

この作品をシェア

pagetop