私は男を見る目がないらしい。
 

「あーもう、ほんと俺って……っ、くそ」


離れてしまった手で、朔太郎は自分の顔を覆ってしまった。

俯いてぴくりとも動かない朔太郎の顔を覗き込むと……指の隙間から透明な雫が一筋伝っているのが見えた。

そして、微かに震える朔太郎の身体。

……何で?

何で、泣くの?

泣きたいのはこっちなのに……

明らかに様子の変わった朔太郎のことを見ていられなくなった私は、朔太郎の名前を呼ぶ。


「朔太郎……っ?」

「っ、……わり、5分、待って」

「ねぇ……っ何で、」

「……っ、見るな……っ」


その理由を知りたくてつい朔太郎の手首を握ってしまうけど、それを拒否するように身体の向きを変えられた。

横からだと見えるその唇から切なく吐息が漏れ、私は胸をぎゅっと締め付けられる感覚に襲われた。

そして、鼻がつんとしたかと思えば、次の瞬間には涙が出てきてしまった。

 
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