私は男を見る目がないらしい。
 

「朔太郎……」

「……」

「好きだよ、……私だって朔太郎のことがすごく好きなの。……でもね、だからこそ怖い。朔太郎を失うことが……。信じたいけど、また同じように裏切られたら今度こそ立ち直れる自信がない。信じるのが怖いの……っ」

「……美桜……っ、ごめん。ほんと、ごめん」

「……っ」

「もう一度だけ、俺のことを信じて欲しい。一生裏切らないって約束するから」

「……」

「……信じて。美桜」


懇願するような言葉と声色に、“朔太郎を信じたい”という気持ちが大きく張り詰めていく。

その言葉を信じてもいいの?

本当にもう、私から離れていかない?


「……もう、私を置いてどこにも行かない?本当に……裏切らない……?」

「裏切らないし、ずっと美桜のそばにいる……っていうか、居させて欲しい。俺には美桜が必要なんだよ」

「……嘘も、つかない?」

「……それは無理。」

「!!」

「言ったよな?美桜のための嘘ならどれだけでもつくって。でも、美桜が傷つくような嘘は絶対につかないって約束する」

「……ほんとに?」

「当たり前だろ。いい加減、信じろって」


私の背中にある朔太郎の腕に、再び力がこもった。

ほっとさせてくれる、その力強さ。

そして朔太郎だからこその言葉に、信じたいと思った。

 
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