私は男を見る目がないらしい。
でも、そのまま頷くなんて、私らしくない。
「……だって、信じたら騙されるし。ほら、私純粋だから」
「あぁ!?お前な……っ」
朔太郎が私を引き剥がすように離れた。
見上げた先にあるその表情は私のよく知っている朔太郎で、少し怒ったような表情だ。
さっきまでの緊張感なんて、どこかに消えてしまったような。
それがまた、愛おしいと思って、つい顔が緩んでしまう。
嘘をついてるとしたら、こんな反応をしたり、こんな顔をしたりするはずないよね?
くすくすと笑ってしまうと、朔太郎が怪訝な表情を浮かべて、はぁとため息をついた。
「……んだよ。結局俺が振り回されるのかよ。ずりぃよな、美桜は」
「……ねぇ」
「ん?」
「……朔ちゃん。好き」
「!!~~ったくっ」
再び朔太郎は私の身体を抱きしめてくる。
さっきとは違って私の頭はすっぽりと朔太郎の身体と腕の中に包まれていて、やっぱりこっちの方がしっくりくるな、なんて思ってしまった。
私もその背中に腕を回して、ぎゅっと力をこめると、はぁと耳元で朔太郎の吐息が聞こえて、反射的にびくっと反応してしまう。