私は男を見る目がないらしい。
「……美桜って昔から耳弱いよなー」
「っ!ちょ、んっ、やだ……っ」
「あと、耳の後ろも」
「やぁ……っ、何すんのっ!やめてってばっ!」
突然スイッチが入ってしまったらしい朔太郎は私の耳をカプリと甘噛みしたり、舌を這わせたりしてくる。
私はぞくぞくと反応してしまいながらも朔太郎の身体を押しのけようとするけど、全然動いてくれない。
というか、ついさっきまでのしおらしい朔太郎はどこに行ってしまったんだろうか?
あっという間に元通りになってしまった。
「……やめて欲しいなら、“朔ちゃんのこと信じる”ってハート付きで言え。」
「はぁっ!?ばっかじゃないのっ!?」
「別に言わなくてもいいけど……いいのか?」
ふぅっと耳に息を吹きかけられて、ビクン!と大きく身体が跳ねてしまった。
「ちょ……っ!」
「ほら、どうする?5,4,3,」
「あっ、言う!言うからっ!朔ちゃんのこと信じ、んんっ!」
頭だけ動かして朔太郎の顔を見上げ言葉を放とうとした瞬間、朔太郎の意地悪な笑顔が一瞬だけ見えて、私の唇は一気に朔太郎のそれに塞がれてしまった。
重なった唇は乾いていたけど、すぐにしっとりと潤いを持ち始める。
緩やかに動く朔太郎の唇が気持ちよくて、その身体にしがみつくようにして、私はあっという間に酔いしれていく。
「ん……っ、……んっ」