私は男を見る目がないらしい。
その胸に飛び込んでしまいたい気持ちを抑えて、私は話を続ける。
……まだ、伝えないといけないことがある。
それを吹っ切ることができないければ、朔太郎とは付き合うことなんてできない。
「……ねぇ、知ってた?あの日、私も傷ついてたって」
「え?」
「……卒業式の日、遠距離になるからってさらっとフッたように見えたと思うけど……、本当はそう見えるように必死だったってことも知らないでしょ?」
「……どういうこと?」
「……朔太郎の幼馴染の女の子。いたよね?」
「……あぁ。うん」
「あの子と朔太郎がよくご飯に行ってること、私は知ってた。……でもそれを朔太郎に確かめる勇気はなかったけど」
「え?いや、でもあいつとは別にそんなんじゃ」
「朔太郎にとってはそうだったかもしれないけど、私にとっては裏切られたのと同じことだった。友達が教えてくれた時にはすごくショックだったけど、やましいことがないなら、朔太郎は普通に“一緒に飯食ってきたんだ”って言ってくれるだろうって、私は信じてた。でも、結局何も言ってくれなかったよね?」
「……何もないから言う必要もないって思ってたんだよ」
ありがちな朔太郎の言い訳に、私は問いかける。
「……じゃあ逆だったら?私が朔太郎に何も言わずに他の男とご飯に何度も行ってたら、朔太郎はどう思ってた?」
「……それは……すっげぇ嫌、だけど」
「でしょ?そういうことなの。朔太郎が思う以上に、私にとってはすごく重要なことで、すごくショックなことだった。……たぶん、たった一言だけでも言ってくれてたら……違ってたと思う。別れてなかったと思う」
その真実に朔太郎はショックを受けたように目を大きく見開き、「マジかよ……」と呟いた。