恋物語。



―――――――…。




お料理はコース料理だった。

そんなものを食べたことがなかった私は、かなり戸惑ってしまったけれど…
聡さんが小声でいろいろと教えてくれたので何とか乗り切ることができた。



それに――、





『……お誕生日おめでとうございます。』


ウエイターさんがデザートを持ってきて、そう言った。



『え…』


そう言われたことに驚いた私は目の前に置かれたデザートに目を向ける。


それは私の大好きなチョコレートケーキで、その周りにはチョコソースで英語のメッセージ。“Happy birthday Chisa”と書かれていた。



『聡さん…が…?』



『うん。あとこれ……知沙への誕生日プレゼント。』


聡さんはそう言うと私に紙袋を手渡した。



『ありがとう…ございます……開けていいですか…?』



『どうぞ?』


フワッと微笑む彼を見て、ラッピングを剥がしていく。



『ぇ…?うさっち…!?何で…っ』


その中身は…私が大好きな、うさぎのキャラクター“うさっち”の20センチぐらいはある、ぬいぐるみだった。



『何でって好きでしょ?もしかして…俺が知らないとでも思ってた?』


それに驚いて彼を見ると余裕がありすぎる顔を私に向けていた。



『はい、好きです……ありがとうございます…』



『どういたしまして。』


私がそのことを認めると…彼は目を細めて嬉しそうに笑った――。





何で聡さんには何でも伝わってしまうんだろう…?


このこと(うさっち)だって…特に“好き”って言った記憶がない…。
だって“この子”が出てき始めたのは…ほんの半年前からだから。

元々うさぎキャラが好きな私は新顔の“この子”のことも気になっていた。
だから、とあるキャラクター売り場ですごい見てたことはあるけれど…。





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