恋物語。




「……知沙、おいでよ。」



「あ、はい…」


聡さんに呼ばれコートを羽織り彼に近づいていく。


ディナーを終えた私たちは、このレストランにあるバルコニーへと足を踏み入れた。
どうやらここは…食事をした人なら誰でも出ることができる…らしい。(聡さん談)




「綺麗…」



そこから見渡す町並みは…本当に綺麗。
街や家の明かりが様々な色で光っていて…。




「…知沙。」



「はい…?」


名前を呼ばれ彼を見上げた。





「俺と……結婚してくれないか?」




「ぇ…」



一瞬…聡さんが言ったことが分からなかった。




けっ…こん…??え…?聡さんは本当に…そう言ったの…?




「理解できてないみたいだね…?じゃあ…これなら理解できる?」



「っ…!」


聡さんはそう言うと…ポケットから小さな箱を取り出し、それを開ける。
その中には…キラキラと輝く指輪が入っていた。




本当…なんだ…?えっ…私、今…プロポーズ、されているんだ…。
どうしよう…自分にこんなことが起こる日が来るなんて…っ




「え、知沙…!?どうしたの?」



「ぇ…っっ…」


急に慌て出す聡さんを不思議に思い彼を見ると…彼の指が私の目の下をこすった。



「…泣いてる。」



「え!?あ、あれ…何でだろう…?全然悲しくなんてないのに…。
て、っていうか聡さん……本当に…私でいいんですか…?」


不安そうに私を見つめる瞳に、そう尋ねる。




だって…この指輪を見た今だって…まだ夢を見ているみたいなんだもん…。
私は聡さんが大好き…。そうなれたら幸せだろうな…って漠然とそう思っていた。



だから…


“信じていいんだよね…?”“夢じゃないんだよね…?”って確かめたくなるの―…。





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