恋物語。




そうだよね…?


世の中…料理の出来る男の人ばっかりじゃないもんね…?
聡さんは、たまたま料理が出来て…たまたま上手なだけ…。



ただ…それだけだよ…―。




ブーッ…ブーッ




その時、テーブルの上に置いてあった私の携帯のバイブが鳴る。



「なに、電話…?」



「あ、うん……聡さん、からだ…っ」


朱里に聞かれて携帯を手に取りそう答える。



「わ!噂をすればラブコール?」



「ちょっと!止めてよ…っっ」


冷やかす朱里にそう言い通話ボタンを押した。



「はい…もしもし。」



『もしもし、知沙?』


電話の向こうからは…いつもの彼の声。



「はい…どうかしたんですか?」



『いや…特に何かあったとかじゃないんだけど…今ってどこいる?』



「今…?今は…朱里と駅前のカフェにいます。」



『あぁ~…そこで会ってたんだね?』



「うん…」




何だろう…?




『じゃあ…今から行ってもいい?』



「え…っ!?あ、はい…大丈夫…です…っ」


聡さんの突然の言葉に思わず慌ててしまった。



『じゃ、ちょっと待ってて?すぐ行く。』



「あ、はい…」


そう言って電話を切った。



「何なに…っ?“愛の言葉”でも言われた?」



「あ、えと……今から来るって…」


興味津々の朱里に…私はそう告げた。



「え!?嘘っ!?来るの…っ!?もう、どんだけ愛されてんの…知沙ってば。」


彼が来ると知った朱里は驚いたり、やれやれ…って感じだったり表情がコロコロと変わる。



「え、あっ…そんなんじゃ…ないもん…っ」



「じゃあ、“愛されてない”って言うの?」



「え!?そ、それは…そうじゃない、けど…っっ」


朱里の気迫に勝てそうになく俯いた。





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