きみの、手
同じ会社の営業部で働く、城田先輩。
彼は黒い髪に黒い瞳をした、背の高い人。細身のスーツがよく似合っていて、少し神経質そうだけど仕事が出来る人だという話は聞いている。
そんな彼に恋をした私は、いつも昼休み彼が一人で過ごしていると噂の屋上で、勇気を出して気持ちを伝えた。
けれど『恋人がいる』とか『好きな人がいる』、『好みじゃない』そういう理由ではなく『興味がない』の一言で断られるなんて誰が予想しただろう。
「せめてもう少し悩む様子くらい見せてくれてもいいじゃんか…」
その夜、昼間のことを思い出しへこむ私は一人部屋のベッドの上枕に顔を埋めた。
あんなにバッサリ言うなんてひどい…けどああいうストレートなところがまた好き…。
ましてやあんな理由じゃ、私は納得なんて出来ない!