きみの、手



「っ〜…よし!こんな時はゲーム!」



落ち込む気持ちを振り払うように私は体を起こし、テーブルに置かれたパソコンを起動させる。



画面に表示されたのは『ファンタジータウン』という文字とファンシーなキャラクターたち。
いわゆるネットゲームが趣味な私はここ数年このゲームにハマっており、オンライン通信で全国の人と繋がれるといったもの。

仲間と冒険をして、レベルを上げて…と内容は普通のゲームではあるけれど、その中で仲間とチャットが出来るというところが好きで毎晩のようにやっている。



『ビビ:こんばんは!』

『トモ:こんばんは』



カタカタと文字を打つと、すぐに返ってきた反応。

ビビというのが私で、相手である“トモさん”というのはこのゲームを始めた頃からの付き合いの友人。

ゲームを一緒に進めることももちろんあるけれど、普段はこうしてチャットで会話をすることが多い。いつも落ち着いていて、すごく大人っぽい人だ。


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