好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―


ああ……来てしまった。

瀬戸、と書かれた表札。

ズカズカと入って行くあかりさんを見れば、ここが瀬戸の家だということは明白。


「どうしたの?
つぐみちゃん」


玄関まで入り込んでいたあかりさんがこっちを振り向く。


……大丈夫だよね。

あかりさん、誰もいないって言ってたし。


ちょっと話して帰るだけ……。


あたしもあかりさんの後に続いて瀬戸家に足を踏み入れる。


……入ってしまった。

本当に大丈夫かな、と不安になりながらあかりさんの後についていく。


「おじゃまします……」

「あはは、別にいいって。
誰もいないし」


あかりさんは朗らかに笑いながらあたしをリビングに招き入れた。


「何か食べる?
あー、でもさっきアイス食べたしね」

「あ、お構いなく……」

「遠慮しなくていいのよー。
これからいっぱい喋るんだから!
お腹空くよ!」


何か……楽しそう、あかりさん。

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