好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「瀬戸、あの……」
「何?」
と、言いながら瀬戸はあたしの視線の先を見る。
すると、あからさまに嫌そうな顔をしながらため息をついた。
「あー……つぐみちゃんが言いたいことは何となく分かった」
「なら……」
「でも、もう終わったことだから」
「え、終わった?」
「うん。
もう高橋だって俺に絡んでこないでしょ」
じゃあ……。
やっぱり瀬戸は結衣の誘いを受け入れたんだ。
結衣、文化祭で最後にするって言ってたもんね。
だから後夜祭って……。
「まー、でもつぐみちゃんにも友達付き合いってもんがあるしなー」
「そ、そうだよ」
あの結衣の視線に耐えながら瀬戸と呑気に話す程の強靭な心臓はあたしには備わってない。
「けど、俺今は平野から離れるわけにはいかないんだわ。
ごめんね」
「は?」
……相変わらず意味が分からない。
意味の分からないことを言うのはいつものこと……なんだけど。
……平野って言った?
さっきまでつぐみちゃんだったのに。
瀬戸がいつか言ってた。
平野呼びになる時は真剣な時なんだって。
瀬戸は無意識に呼び分けてるみたいだけど……。
……今、何に真剣だったの?
離れるわけにはいかないって何?
ポカンとしているあたしを見て瀬戸はクスクス笑う。