好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「……はぁ」
絵具のついた筆をピチャピチャとバケツで洗いながらため息をつく。
いろんな色が混ざって汚い色をしたバケツの中の水。
さすがに準備中は忙しいのか瀬戸もあたしの方へは来なかった。
男子の輪の中にいる瀬戸。
全くと言っていいほど準備には参加してないけど、楽しそうに笑っている。
そんな瀬戸の顔をこっそり盗み見る。
意外とモテるよ。
亜美は瀬戸のことをそう言っていた。
……うん。
何となく分かるよ。
人当たりが良くて、明るくて。
若干チャラチャラしてそうに見えるけど……でも、よく話してみるとそんなことなくて。
顔だって……そ、それなりに?
イケメンの部類に入るかどうかは分からないけど……最近、何だかカッコよく見える気がする。
それはあたしの気持ちに変化があったからなのかもしれないけど……。
「つぐみー、ちょっとバケツの水取り換えてきてよ」
「あー、うん。分かった」
あたしは少しだけ重たいバケツを持って教室を出た。