好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―

汚い水を全て流して軽くすすいだ後、バケツに水を溜める。

水が溜まるのを待ちながらボーッと窓の外を眺める。


……結局、放課後のクレープ……瀬戸って来るの?

リホは来てもいいよなんて言ってたけど。


瀬戸が来るのが嫌ってわけじゃないの。

でも……やっぱり何かあったのかが気になって。


広里君に聞いても分からないって言われるし……。


……なんか、最近やたら瀬戸のことばっかり考えてるな。

いつからだろう……。

瀬戸が好きって自覚したあたり……?

ううん、それよりも前……。

瀬戸に告白されたあたりから、ずっと。


何かすることがなくなると、決まって考えるのは瀬戸のこと……。

誰かに恋をするってこういうことなの?


「つぐみ」


後ろからかけられた声に思わずビクッとしてしまう。

誰の声かなんてすぐに分かった。

分かってしまったからこそ、振り返るのに少しだけ勇気が必要だった。


「……結衣」


今日、朝からずっと……あたしにまとわりつく瀬戸を見ながら不愉快そうだった結衣。

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