紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~
なら…、
もう離れた方がいいかのな?
そう思ったけど…、
瀬谷君の瞳がどこか寂しげにユラリ…と揺れた気がして、離れる気にはなれなかった。
前に会った時も、瀬谷君はこんな顔をしていたっけ…。
思い出したのは階段付近で、辛そうにしていた瀬谷君。
この人は一体、何を抱えているの?
ジッと瀬谷君の端正な横顔を見ていたら、不意にその顔が私に向けられる。
「………なに?」
「あ、別に」
「用がないなら帰れば?」
冷たくそう言われたけれど何故だがその場から離れがたくて、黙ったまま瀬谷君を見つめる。
そんな私に嫌気が差したのか、すぐに顔をそらした瀬谷君は路地の奥へと向かって歩き始めた。