紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~
「その気持ち、分かるよ。蓮の言ってる意味、凄く分かる。私も蓮に対する思いは、蓮が今言った事と同じだから…」
「綾香…」
「気付くのが遅くなってごめんね、蓮」
「あぁ、もういい」
「蓮…、好き。大好き」
「綾香、俺もお前だけが好きだ」
フッと蓮の頬が緩む。
その顔を見て、本当に私の事を思ってくれていると感じ、嬉しくなった。
「あなただけを愛している。…だから、ルキアを見ないで」
「…だから言ってるだろ?お前だけが愛しい…と」
「だって惹かれてる…って」
「そんな気持ち、お前に対する思いに比べれば、気にする必要なんてない」
「…本当?…だって私が恢への思いに悩んでいた時、ルキアとばかりいて私の事、気にもとめていなかったじゃない」
私の言葉を聞いた蓮が一瞬黙り、そしてハァ…と大きな溜息をこぼす。
え?もしかして呆れられた?
そう思った瞬間、気持ちが一気に萎んでしまった。