紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~
「あれはお前に言葉で言わなくても、気付いてくれるまで待とう…。そう思ってた俺の気持ち、分からなかった?」
「え?」
「ずっとイライラしながら、俺だけが好きなんだと早く綾香が気付くのを待ってたんだよ」
「言ってくれれば良かったのに…」
「それじゃ意味がねぇ。…あの場合、自分から気付かなくちゃ意味ねぇんだよ」
「そっか…。待たせてごめんね、蓮」
「本当だ。大分、待たせやがって」
私の頭をポンポンと優しく叩く、蓮。
そんなやり取りがくすぐったく感じて…、
恥ずかしかった私は、蓮の胸に顔を埋めた。