ツンデレ社長と小心者のあたしと……3
《空に会社》のなんとなくの内容は分かったけれど、あらすじを知ったことで、余計に実物が読みたくなる。
ミツアキなら……と携帯の電話帳を開きかけて、やめた。
最後に会ったのは何年前だっただろう。
もう、すっかりと別人になってしまった彼を見るのは、あたしにとって辛い事。
となると……。
時間は限られている。一番スピーディな方法を常に選択しろと言ったのは社長。
そして……今頭に浮かんでいる人物もまた同じ。
急いでメッセージを作ると、社長宛に送信をした。
それでもダメならミツアキを頼ろう。
自力で他県の蔵書も調べてみよう。
そう思ったら急に気持ちが楽になった。
先にできることから始めよう。
今出来るのは、他の著書に関する書評を作り上げる作業だ。
早速自宅にあった本からななめ読みで内容を確認し、大切なところをまとめていく。
何度読んでも、心を打たれる場所は同じ。
ここを読んでほしい、ここを知って欲しい、そんな思いでタイプしていたら、自然とすらすら文字になっていく。
社長もこんな感じで本を書いているのだろうか。
もっともっと回転の速い頭で、思いついた事をひたすら文字にしていったとしたら、膨大な著書ができるもの納得。
もっとも、あたしはその感想で精一杯だけど……。
家での作業を終え、外に出ようとしたその時社長からの返信が届く。
【23時以降取りに来て】
相変わらずの短文。
そして……相変わらずの、内容は勝手に読み取れという社長らしいメッセージだ。