謝罪のプライド



「浩生も入る? ……って、あれ?」


長めのお風呂から上がると、浩生が勝手に冷蔵庫の食料をあさって食べていた。


「まだ食べてなかったの?」

「おう。飯食わせてもらおうと思って来たんだった」

「先に電話くれれば用意しておくのに」


ため息混じりに告げると、飄々とした声が帰ってくる。


「別に大したものはいらねーし。こんだけ食えば腹一杯」


冷凍のご飯を温めて、おかずは私が明日の朝食用にと残していたものを食べたらしい。
やれやれ、明日は少し早く起きてちゃんと朝食を作らないとダメか。


「ちゃんとバランスよく食べないとダメだよ」

「一週間単位で見りゃとれてるよ。昨日、鍋食ったし」


ギクリとした。やっぱり間違いなく昨日のは浩生なんだ。


「昨日……どこで食べたの?」


素知らぬふりで聞いてみると、浩生も平然と答える。


「あ? 聞いてないか? 坂巻と飯食いに行った。お前から教わった店だって言ってたけど」


浩生からも美乃里からも直には聞いてないよ。
でも、聞けば教えてくれるなら、浩生には隠すつもりは無かった?

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