謝罪のプライド
11.誘う男

かつやに十九時。

あんなに嬉しかった浩生の誘いも、今となっては気が重い。

会って、私は普通に話できるのかしら。

そもそも、なんて言えばいいのだ。
問い詰めたら、どうなるの?


最初はあんなに嫌がっていたのに、最近の浩生は美乃里ともそれなりに仲良さそうにしている。
最悪の印象がよくなっていったら、そのまま好きになっちゃうこともあり得る?

だって美乃里は可愛くて、そして甘え上手だ。
私みたいに、ショックを受けても仕事をしてしまうような女とは違う。



かつやの前まで来て、足がそれ以上動かなくなった。

浩生と会って普通にできるかわからない。
普通にしなきゃいけないのかどうかもわからない。

数人が私を追い抜かしてかつやの中に入っていく。
不思議そうな視線を向けられると余計萎縮してしまう。


このまま逃げたらどうなる?
浩生には、具合が悪くなったとかメールして。

でも今日をそうやってしのいだところで今後はどうするの。

浩生にフラれる日を待つの?

それはもっと自虐的というか。どっちにしろ私には耐えられない。


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