謝罪のプライド

「……やる、って。大事なものでしょ?」

「大事なものだからだ」


照れたように笑って、私の指を満足そうに撫でた。


「大事なものは大事な奴に持たせておけば合理的だろ。俺はお前を守るだけでいい」


私は、感動しすぎて言葉に詰まっていた。
浩生の本当のお母さん、この指輪を手放したお父さん、譲り受けたおばさん、作り直した浩生。
いろんな思いが詰まっていて、見ているだけで涙が出そう……というか、もうダメだ。涙腺が崩壊した。


「うん。私がっ、幸せにしてあげるからね」


しゃくりあげながら言うと、浩生に吹き出された。


「わ、笑わないでよ!」

「笑うだろ。それって男のセリフだし。それに」


そのまま胸元に顔を寄せてくる。エッチな事をされるのかと思ったら、おでこが胸のふくらみに触れたところで止まる。


「……予想外過ぎて調子狂う」

「浩生」

「幸せになんて自力でなるもんだと思ってたから。……誰かに与えられるなんて考えたこともなかった」


そのまま動かない彼の頭を強く胸に抱きしめる。
ひょうひょうとした風の浩生が、今は甘えてくれてるみたいで嬉しくて。

浩生の手が背中に伸びてきて、私も強く抱きしめられて幸せを感じる……と思ったら。

サテン地のドレスの背中にあるファスナーが外されていく音がする。
浩生がちょっと手を動かすだけで、簡単に肩から滑り落ちるドレスと、外される下着のホック。


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