謝罪のプライド


 そして金曜の夜。幹事は例によって私。年齢の幅も広いし人数も少ないし、という要望を合コンの達人のような同期に伝えると、鍋の専門店【U TA GE】を教えてもらえた。テーブルがちゃんと仕切られていて、少人数でも個室風の雰囲気が味わえるから、ということだ。


「へぇ、鍋って言ってたけど洒落た店なんだな」


待ち合わせの場所に最初にやってきたのは部長だ。涼やかな髪が風に吹かれていて寒そうだ。髪さえしっかりあれば格好良いんだけど惜しいよなぁなんて、部長を見ていると思う。


「どうだ。坂巻くんは」

「そうですねぇ。ちょっと奔放っていうか。……今時の子なんですかねぇ」

「はは。俺から見りゃお前たちは同じくらいの歳だけどな」

「そうですね、あははー」


乾いた笑いしか出てこない。
確かに三歳しか違わないんだよ。なのにどうしてこんなに感覚は違うのだろうか。


「まあ、でも根性はありそうだよな。どんなに落ち込んでも翌朝には笑ってる」

「そうですね」


確かに、それは彼女の長所だろう。
こんな部署で、落ち込みやすかったら精神が参ってしまう。


「まあ、来週からしばらくはお前も休憩しろよ」


ポンと肩を叩かれた。この一ヶ月の疲れ具合は部長には認識してもらえていたらしい。

やがて、他の三人の先輩と坂巻美乃里がやってくる。あんなこと言ってた割に、両手に男性陣を従えてくるのねって思うとなんだか嫌な気分。

ああ、かわいい女は得だよね。
なーによ、他の三人もヘラヘラしちゃって。


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