謝罪のプライド


 オシャレなレストランという外観からは想像できなかったのか、美乃里は中に入ると変な顔をした。


「鍋、……ですか?」

「そうよ。年代関係なく食べれるでしょ」


不満気な様子を一掃するように言い切ると、薄茶の短髪に淡白な顔をした全体的にあっさりした印象の店員さんが爽やかな笑顔で奥からやってくる。


「いらっしゃいませ」

「予約した新沼ですけど」

「新沼様。六名様で伺っております。こちらへどうそ」


物腰も丁寧な店員さんは終始人懐こそうな営業スマイルを浮かべて、私達を席まで案内してくれた。


「ちょっとかっこいい人ですね」


美乃里が私に耳打ちする。確かに、整った顔はしていて印象には残るかも。というか、どこかで見たことあるような感じさえするというか。


「気に入ったの?」

「見た目は。でも私休みが合わない人とは付き合えません」


その反応に、美乃里が今まで男関係では困ったことがなかったんだろうなというのは伺える。自分が気に入ったら付き合えるはずという発想は、モテナイ人生を歩んでいた女には絶対ない。


「コースで頼んであるので、飲み物だけ適当に頼んでください」


まずは最初はビールかなと見回すと、美乃里だけがメニューを見ている。


「私、ビールがダメなんで、他の頼んでもいいですかぁ?」

「いいわよ。そこに書いてあるのから選んでね」

「女の子ってビール苦手って子多いよね。可愛いなぁ」


話に加わる男性社員。いや、私は飲みますけどビール。あんたら、今まで私と一緒に飲み会に行ってそんな言葉一度も言ったこと無いだろうが!

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