謝罪のプライド
「そういえばさ、亜結の話なんだけどね」
「ああ。お前の友達な」
「結婚が決まったんだって。凄くない? 交際四ヶ月しか経ってないんだって!」
「はぁ? 早いな。大丈夫なのかよ。勢いだけで決めたんじゃねーかぁ?」
「いや、彼には情熱が合ったんだよ。今度私も会わせてもらうんだ。だからまた来週飲みに行ってくるね」
「あっそ」
話しながら浩生はあっという間にお椀を空にし、「シャワー使うぞ」と立ち上がった。
「あ、ちょっと」
「スーツかけといて」
まだ話も途中だったのに。
遮ったのはこれ以上したくない話だったから?
仕方なく脱ぎ捨てた服を拾い集め、ハンガーにかけながら溢れるのはため息。
奥さんみたいなこと、私、今だってしてるじゃん。
だったら結婚してもやれるよ。そう思わない?
それとも、浩生は縛られるのが嫌なの?
私となんか結婚するのはイヤ?
ちゃんと愛されてるのか知りたいんだよ。体だけじゃなくて、心が伝わる言葉が欲しいのに。
茶碗を片付けて置きっぱなしになっている浩生のスウェットをクローゼットから出す。
タイミングよく浩生が風呂場から出てきたので、Tシャツと下着も添えて渡した。
「さすが初音。気が利くな」
「浩生が図々しいからね」
「まあそう言うなよ」