桜雨、ふわり。
「じゃあ、あっこあたし行ってくるね!」
「今日も森崎探し?」
「うん!」
お弁当をしまって席を立ったあたしに、あっこはなんだか可笑しそうに肩を揺らした。
「花奈、ファイト!」
「うんっ、がんばる!」
あっこの笑顔に後押しされて、あたしは今日も「森崎探し」に繰り出した。
屋上。
校舎裏。
中庭。
森崎くんがいる場所は、たいていポカポカしてて気持ちよくて、お昼寝が出来そうなトコロ。
どうやって見つけたの?
って思うような場所にいることが多かった。
思いつく限り探して回る。
見つけられない時だって、もちろんあった。
いつのまにか、お互いゲームみたいになってて。
森崎くんは、あたしに見つかると決まって小さくため息をしていた。
それでも、あたしは楽しかったんだ。