桜雨、ふわり。
そんな事を繰り返して、季節はすっかり青空の眩しい夏になっていた。
もうすぐ夏休みだ。
森崎くんを探して外に飛び出したあたしの肌に、ジリジリと照りつけるような日差しが降り注ぐ。
ムッとした熱気に、そこにいるだけでも汗がジワリとにじんだ。
思わず空を見上げ、額に手をかざす。
「あつー……」
こんなに暑いのに、森崎くんが外にいるのは考えにくいけど。
でも、あそこなら涼しいのかもしれない。
そこは、旧校舎の裏庭。
手入れのいきとどいた庭木が立ち並ぶそこは、ヨーロッパのお庭が思い浮かぶ場所。
一年通して、いろんな花が咲き乱れていた。
その植木の間を、四つん這いでくぐる。
いるかなぁ……。
植木の下をくぐると、ぽっかりと開けた場所に出た。
――ガサガサ!