桜雨、ふわり。



「っ、あ!森崎くん見っけ」



嬉しくて、思わず叫んだあたしの声に、一瞬ビクリと肩を震わせた森崎くん。

寝転んでいた上半身を起こして、ジロリとあたしを見た。



その顔には、


「こんな場所までついてくんな」


そう書いてあるようだった。



それでもあたしはそのまま彼の傍まで這って行く。




「今日もあたしの勝ちだね」




また寝っころがった森崎くんの顔を覗き込みながら言うと、黒目がちの瞳が不意に細められた。




< 9 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop