桜雨、ふわり。
「っ、あ!森崎くん見っけ」
嬉しくて、思わず叫んだあたしの声に、一瞬ビクリと肩を震わせた森崎くん。
寝転んでいた上半身を起こして、ジロリとあたしを見た。
その顔には、
「こんな場所までついてくんな」
そう書いてあるようだった。
それでもあたしはそのまま彼の傍まで這って行く。
「今日もあたしの勝ちだね」
また寝っころがった森崎くんの顔を覗き込みながら言うと、黒目がちの瞳が不意に細められた。